わたしの人生語呂合わせ

延命措置みたいな最後の数ヶ月

飲み会芸人という短い命

お酒が飲めるようになって、まだたったの2年しか経っていない。ワインとビールは修行して飲めるようにしたが、日本酒はまだ手をつけていない。焼酎も飲まない。逆に言えば、ハイボールと果実酒とカクテルだけでどうにか回している。

2年ちょっとの間、自分ではけっこう飲み会に参加しまくっていた気がしたが、大学2年の途中まで未成年だったので思えばウーロン茶ばっかり飲んでいた。あの頃は飲み会が嫌いだった。後輩だったからお金を払わずには済んだけれど、そんなに面白くない話に相槌を打ったり、それ以上に、面白くない人間にネタにされるのが嫌だった。自分で言うオバさんと、人に言われるそれは、違うのと同じだ。

 

当然だけど、男は可愛い子が飲み会に来ると喜ぶ。ちやほやする。飲ませない。話を聞くし、質問もする。気持ち悪い空気が出来上がっている。私と比較する。私は少しだけ、わざと、粗雑でガサツに振る舞う。ネタにされている。盛り上がる。傷つくほどではないが不愉快な思いをする。私がいるからこそ、このちょっと顔が良いだけの女だって居場所があるのに。お金を払わない代償が大きすぎる。

 

いまでは飲み会における自分の立ち位置を確立することができたので辛くもない。初対面以外の人には自分を積極的に開示するようにした。もう隠しても無駄だし、せっかくの場で、お金を払って(先輩になっておごるようにもなった)窮屈な思いをしたくはない。そうするくらいなら、どんなに笑い者にされても自分から自分をネタにするほうがましだ。そうやって、芸人になることで自分を守ってきた。どうしてそんなに自分を犠牲にするのだ、と言われることもあるけれど、何度かここでも書いたように、自分を犠牲にではなくひたすら守っているのだ。

 

それでも、ふと、我にかえることはある。

 

私はこれまで芸人とか盛り上げ役とか(自称他称含め)、そういう立場でやってきたけど、これって無限にやれないよなあ、と。

 

私自身はいくつになろうと身を切ることは構わない。むしろどんどん身を切りたいと思っているし、それで面白ければ私も自己満足で幸せになれるのでウィンウィンくらいに思っている。自分が面白いに違いないという多少のエゴと傲慢さを含めてである。

年齢がついていかないとかそういう意味ではなくて、私のオリジナリティ、独創性、そういうものはいつまでももたないよなあ、ということである。

 

どんなにネタに変化があって毎回面白い芸人さんでも、一定の芸風はあるわけで毎回見せられたら少しは飽きてくる。そこを飽きさせないのが芸人さんのすごさであって、エンタメを提供してお金をもらって食っていくことの厳しさなんじゃないか。友近とかロバートのネタは何回みても笑うし、ナイツのヤホーという最初にくり出されるもっともくだらない小ネタに幾度となく引っかかってしまう。

一方で私は普通のその辺の女なので、つねに飲み会でどう振る舞ってウケるかを仕込んでいるわけではないし、飲み会はメンバーや席で雰囲気が違ってくる。用意したところで、自分も酔ってしまっているしどこまで通用するか未知数だ。

 

だからそこで私は鉄板として自虐という最大NG項目(なんでNGかというと他の記事にも書いてきたけど、自我がまともな人を不安にさせるから)を何度も繰り出してきた。まだ、私の周りでは多少は機能しているので引退する必要はすぐにはなさそうだが、いつまでできるかはわからない。

そして最近、私より面白い奴が登場したら終わりだという気持ちが増してきた。

 

卒業という節目において、これまでのコミュニティにおける飲みはだんだん最後になってくる。最後だからいつもより気合を入れて身を切るが、ふと、思う。

もし、今後もOGとしてここに呼んでもらうとしたときに、そのときも同じように面白い奴として振る舞えるだろうか?私がいなくなったあと、後継者が現れたら、私の役目は無くなってしまうのではないか?

実際には、私の後釜のような人が現れたとして、私と全く同じな訳はないから、それぞれに役割はあるのだろうけど、キャラかぶりという最も恐ろしい状態になってしまう可能性がある。

そして私はそれに備えて、日々新しい笑いを追求しなければ、と追い込まれるのだが、なぜふつうの20代女性がそこまで自分を追い詰めているのか?という気持ちにもなり、焦ってるんだかなんなんだか、わからなくなっている。

 

とりあえず、就職先に芸人がいたら終わりだ。しかも男なら終わりだ。女ならタッグを組むけれど、男なら立てなければならない。私より彼がつまらなくても、彼が最も面白いことにしなければならない。男尊女卑だろうが男のプライドを傷つけないことは、生理中の女を刺激しないことくらい大切だ。

そしたら私は、飲みたくもない甘いカクテルを飲み、もはやどの部位かわからない焼き鳥をつまみながら、合コンさしすせその劣化版を繰り出すことくらいしかできない。